リウマチ専門医が、患者さんの病状に合わせて療法を進めてまいります

リウマチの診察風景

現在「リウマチ」というと、一般的には「関節リウマチ」を指します。
関節リウマチは自己免疫の異常が原因で起きる(自己免疫疾患)ことから、その大半は膠原病のひとつに数えられています。
主に手足の関節に腫れ、痛みが生じ、症状が進むと骨や軟骨が破壊されてしまう病気です。

日本では約60万人の患者さんがおられ、その内女性が7〜8割で、30〜50歳くらいが発症のピークと言われています。
免疫に異常をきたす原因はよく分かってはいないのですが、遺伝的要素が約25%、残りは感染、ストレスなどの環境要因と考えられています。

かつては「治らない」病気とされていましたが、今では治療法の進歩により症状をかなり抑える事ができるようになっています。

最近のトピックとして、このリウマチによる関節破壊は、発症してから約2年以内に急激に起こることが判ってきました。
従って治療の目的は、このリウマチを出来るだけ早期に発見し、可能な限り早期に治療することで、関節の破壊を抑制することが可能になってきました。
関節リウマチはとにかく早期診断、早期治療が肝心です。
リウマチかどうかの診断には、レントゲンによる視覚的な検査も行いますが、近年では採血による抗体検査が格段に進歩し、早期リウマチの診断の助けになっています。

リウマチの薬物療法

1.抗リウマチ薬(リウマトレックス、プログラフ、リマチル、アザルフィジンEN 等)

免疫異常の改善と関節炎、関節の破壊の進行抑制をすると共に痛みを軽減します。

2.生物学的製剤(エンブレル、シンポニー、ヒュミラ、アクテムラ、オレンシアなど)

特定の炎症性サイトカインなどの働きを抑え関節の炎症や骨の破壊を抑える注射薬です。
この生物学的製剤はリウマトレックスと併用すると、半分ちかくの人で痛みや腫れがなくなり、炎症反応などの検査結果も正常化します。

3.非ステロイド抗炎症薬(消炎鎮痛薬)

痛みの原因の一つであるプロスタグランジンが作られるのを抑制し、それによって痛みや腫れを軽減させるのが目的です。
上記の薬剤2・3の補助療法として使用します。

リウマチ専門医は、この使い方を熟知している必要があります。
薬剤を上手に使っていく事で、時間がたってしまったリウマチの方でも進行を食い止め、疾患活動性のコントロールが可能になってきています。
ただし、効果の高い反面、免疫機能を抑えてしまうので、感染症(間質性肺炎など)にかかりやすくなるという副作用があります。
それらの兆候を見逃さないことも重要になってきます。
また、生物学的製剤を使っていても、個々の関節の炎症が残る場合もあり、関節内注射・滑膜切除手術・関節形成術なども考慮しつつ、痛みなどの症状が出ない「寛解(かんかい)」に向けて工夫する必要があります。

わしざわ整形外科では、患者様1人1人の症状・状態に合わせて、上記いずれかの薬物療法を適切に選択し、寛解(かんかい:症状がほぼなくなる状態)を目指します。
すなわち関節リウマチの治療は、『再び、〜XXX〜 ができるようになりたい』 など患者様の希望をお聞きし、可能な限りそれに沿った生活の質(QOL)の向上を目標とします。

こんな症状が気になったら診断を

関節リウマチはとにかく早期発見、早期治療が肝心です。
2010年には、関節リウマチ診断の基準となる新たな分類基準が制定され、早期診断が可能になっています。
おかしいな?と思ったら、早めに診断を受けましょう。

  • 朝起きた時に、関節がこわばる
    朝起きた時に、関節がこわばり、動かしづらく感じる。また、そのこわばりが長時間続く。
  • 関節に腫れや痛みがあり、それが長期間持続している
    指先から二番目、三番目の関節や、手首の関節に腫れが出やすいという特徴があります。
  • 関節を動かさなくても痛みが出る
    関節を動かした時だけではなく、じっと安静にしている時でも痛みが出る。

関節リウマチ診断の評価基準

  1. 腫れや痛みのある関節数を調べる
  2. リウマチ因子、抗CCP抗体の有無
  3. 炎症反応の有無
  4. 症状の出ている期間

リウマチの診断では、これらの評価基準を元に様々なデータと触診で判定を行っていきます。
場合によっては、他の病気の可能性もあるため、リウマチの早期発見・診断には、リウマチの判定や生物学的製剤の使用に精通したリウマチ専門医の診察を受ける必要があります。